Oh Lately

アメリカ在住デザイナー先生のブログ

東北地方デザインの旅

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現在日本に一時帰国中。最初の1週間はお仕事でそのあとは国内を色々と回っている。一泊二日で東北地方を訪問。山形→青森→十和田という強行スケジュールなのだがなかなか楽しい。

 

山形では天童木工のショールームを見学。この家具屋さんはプライウッドの曲げ技術が得意で、柳宗理氏のバタフライスツールなどを製造している。このバタフライスツールはその昔彼女(現奥さん)がプレゼントしてくれて今でも愛用している。プロトタイプなんかが展示されて面白い。いままでそれ以外のプロダクトにはあまり詳しく無かったのだが、職人さんが丁寧に作っている家具たちはとても素敵だ。モダニズム的にシャープではないのだが、温かみと親しみがある家具たち。次は工場見学をしてみたい。

 

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青森県立美術館は新幹線の新青森駅からバスで10分なのだが、何かの予感がしてその場でレンタカーを借りる。美術館は縄文時代の遺跡の近くに建っていて素晴らしいロケーション。この日はアルヴァロ・アアルト展がやっておりラッキーだった。アアルト展は建築のドローイング、写真、家具、マテリアルなどが展示されていたが、建築エリアはやや物足りない印象。建築のエキシビションはバッチリとモデルがないと華やかさに欠ける印象。常設展の方は地元出身の奈良美智と棟方志功をフィーチャーしていて、かなり立派なコレクション。青木淳さんの建築もなかなか凝ったサーキュレーションでよかった。

 

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ここで、午後2時。レンタカーを借りていたのでその場で片道1時間半かかる十和田市現代美術館に行くことに決める。元来勢いで生きているので、一人旅はノリで予定変更できるのが楽しい。青森の田園風景(ジャガイモ畑)を延々と運転して美術館にたどり着く。

 

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十和田市現代美術館は西沢立衛氏による設計で、金沢の21世紀美術館から丸い部分を取り除いたようなデザイン。ひとつひとつの四角いボリュームは立体物、または映像のアートをフィーチャーしていてそれをガラス張りの回廊が結ぶというアイデア。それぞれの展示室はストリート側に向けてガラス越しにオープンされており、外に向けて開かれている。これは中から見ているとあまり感じないのだが、見終わった後に外から見ると建物自体がセットバックされており、巧みに内外空間が繋がっている印象。西沢さん名義の美術館はここと、豊島と、軽井沢に行ったけど、どれもアイデアが明確で意図が伝わるのが好印象。抽象的なデザインのインテンションを訪問者に考えさせるというのはとても素晴らしい。

 

ということで、一泊二日に弾丸ツアーだったが、とても効率的に有意義な旅ができたのが良かった。なかなかいいところなので今度はゆっくりと温泉にでも泊まりがてら来てみたい。