Oh Lately

アメリカ在住デザイナー先生のブログ

遠い太鼓

村上春樹さんの「遠い太鼓」が好きだ。キンドル版が出たので改めて読み返してみると色々な気づきがあって面白い。日本を飛び出したのが三十代後半ということは、今の自分の年代だ。この歳になってくると、色々な責任や頼まれごとや付き合いが増えてくる。ましてや春樹さんのように華々しくデビューを飾った作家は色々なお誘いや仕事の依頼が多かったのだろう。日本にいるとそのような雑事に追われて落ち着いて仕事ができないというのはとても共感できる。日本では多少のアチーブメントを達成するとみんな寄ってたかって持ち上げる(消費する)ので、いちいち舞い上がっていたら本質的に深みのある仕事は成し遂げ得ないとわかっていたから海外に脱出したのだろう。ギリシャ、イタリアで奥様と2人孤独な日々を送ることによって落ち着いた環境で書いた「ノルウェーの森」と「ダンスダンスダンス」は僕の一番好きな村上作品だ。やはり長い目で見て自分の人生の指針をしっかりと設定してそれに対して日々努力を積み上げるというのは素晴らしい。自分も見習おう。