Oh Lately

アメリカ在住デザイナー先生のブログ

ブラジリア


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ナタルからブラジリアへ。ブラジリアでは試合を見る予定はないのだが、建築に携わる者としてここは外せない。ブラジリアは1960年にリオデジャネイロから首都を移動した人工都市。アーバンプランナー、ルシオ•コスタと建築家、オスカー•ニーマイヤーのてによってデザインされた理想都市だ。この街がとても面白いのは都市の出現が人為的にもたらされたことである。普通の大都市は気候条件な地形などにより自然発生的にできているが、ブラジリアは20世紀にまっさらなところから作られた都市なので異彩を放っている。街区がすべて計画的に作られており全体が鳥の形をしていて、中心にお役所、政府関係の建物、カセドラル、ホテル、大使館などがあり、羽の部分が自由宅エリアになっている。
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面白いのはブラジリアにはほとんど信号がない。1960年にはすでに自動車が存在しているという前提で都市計画が進められたため交差点はほとんどなく、すべて立体交差している。それなので渋滞は起きにくくとてもスムーズだ。ただなぜか公共交通機関を作り忘れたようでメトロはごく一部のみでバス網も非常に貧弱なので車がないと生活ができない。
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羽の部分の住居は4棟のアパートメントを周囲において、中心に商店、学校、教会というのが基本ユニットになっていている。それぞれのユニットに数字がついており、それがそのまま住所になっている。オスカー•ニーマイヤーは近代建築の巨匠ル•コルビジェのもとで修行をしており、コルビジェの提唱した近代建築の5大原則を実現しているのが面白い。すべてのアパートメントはピロティ方式が採用されており歩行者は自由に建物の下を行き来できるので、建物が人間の移動を妨げることがない。住居を集合させることにより、空いたスペースを緑化する。大きなガラス窓を使うことにより、自然光を取り入れるなど。建物自体はくたびれているもの、コンセプトが厳密に実行されているのでプランナーの意図を感じることができ、大都市特有のカオスさは見受けられない。

ブラジリアの中心部にはニーマイヤーの国会議事堂
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美術館
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図書館
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そして、カテドラル
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という風に美しい建築が沢山ある。他にも、ブラジリア大学もニーマイヤーの作品で多くの建築を一気に楽しめる。
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ブラジリアに来るまで知らなかったのだが、多くのニーマイヤーの建物には美しいタイルが使われている。これはアーティスト、アルトゥール•ブルカオによる作品で街の至る所で見ることができる。絵柄はシンプルで美しいカラーの組み合わせとなっている。あまりにも美しいのでブルカオファンデーションに連れて行ってもらい、オリジナルのタイルを購入した。

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デザインをする人にとってはとても素晴らしい街なので絶対外せません。皆さんも是非ブラジルにいく際はブラジリアを訪れてください。

ギリシャ戦

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午後にちょっとホテルで休憩した後、タクシーでEstadio das Dunasに向かう。この日はワールドカップ4回目参戦のベテランサポーターのペコちゃんと合流して、スタジアム周りで国際交流をした。実はペコちゃんは「ハチマキ大作戦」というプロジェクトの首謀者だ。「ハチマキ大作戦」は日本の鉢巻を大量に持って行って、現地で配り、ブラジルのサポーターに日本を応援してもらうという試みだ。僕も、微力ながらLAのリトルトーキョーで鉢巻を50本ほど仕入れて持って行った(コートジボワール戦はスタジアムに持って行くの忘れた)。ハチマキは大人気で、瞬く間に捌けて行く。あまりにも需要が高いので、可愛い子供や女の子限定で配るが、近くにいる男たちにも迫られて、僅か10分ほどで完売。これはいろんな人との交流のきっかけになるので、とてもいいアイデアだと思う。
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今回は絶対勝たないといけない試合なので、自分のカテゴリー1(高い方の席)ではなくゴール裏(安い席)で声援を送る。日本人サポーターのボルテージは試合前から最高潮だ。この日のスタメンはコートジボワール戦から二人変更(大久保←香川、今野←森重)。序盤から日本がポゼッションを握るいい滑り出し。対するギリシャは堅い守りからカウンターアタックを狙う。前半にギリシャの選手が接触からのケガで交代、さらにギリシャの選手が長谷部へのファールで2枚目のイエローカードをもらい退場してしまう。ここからギリシャは完全に自陣に引きこもり防戦一方。日本はサイド攻撃からチャンスを作るも高さで中を固めるギリシャディフェンスに跳ね返されるばかり。
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後半に入って日本は遠藤ヤットを投入。ヤットが入ることによりパスがスムーズに回り始めるが、日本の選手は引いている相手に対してバックラインでのパス回しが多すぎる。隣にいたサッカーをあまり知らない女性が「もう、ちゃんと前行かなきゃダメじゃない!」と言ってたくらいだ。日本は後半に大迫に代えて香川を投入。香川のポジションチェンジとドリブルは多少の変化をもたらしたが、ギリシャは香川のプレーに対する分析ができているようで、落ち着いて対応していた。それでも日本は数度チャンスを作るが、決めきれずに0-0のスコアで無情にも試合終了のホイッスル。

リスク覚悟でバイタルエリアで勝負しないといけない、というのはよくある日本代表に関してよく言われることだが、今回のワールドカップを見ていて感じたのは、「やらない」のではなく「できない」のではないだろうか?他の国に比べて中盤でのボールロストが多すぎる。アジアレベルでは通用していた日本の華麗なパス回しが今大会では影を潜めているのは、なぜだろうか?中盤でのプレッシャーが強い世界の舞台ではちょっとのタッチの大きさ、パスの精度の悪さ、ポジショニングのズレですぐにボールを失う。今回の日本代表は基本技術が他国に比べて低いと思えてならないのだ。そういう意味ではこの問題の根は深い。
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例えば、日本の選手はワンタッチで振り向くプレーをしていたが、たまたまスペースに敵がいなかったら抜けるし、いたら捕まる。イニエスタだったらパスが来る前から敵と見方がどこにいるのかの空間認識が完璧にできているので、相手のいない方向を判断して一気にトラップから置き去りにする。世界一の選手と比べるのは酷のような気もするが、ワールドカップで勝つには選手も世界レベルになる必要がある。今後は日本代表にチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに常時出場する選手がでてきて欲しいと切に願う。
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ただ、サッカーには一方的に攻めまくってもゴールが入らないことは良くあることだし、ギリシャ戦でたくさん作ったチャンスのうち一つでも入っていたら勝ってたわけだし紙一重といえば紙一重なのだ。幸いにして日本が首の皮一枚で可能性を残しているのも事実。限りなく低い可能性なのは百も承知だが、この夢の中にいるという事実をもう少しだけ楽しもう。

遊びまくり

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ギリシャ戦の前日は全く眠れなかった。日本代表のことを考えると、興奮と不安が入り混じった感情が駆け巡って頭が冴えた。しょうがないので、眠るのを諦めて、ダウンロードしおいた映画を見た。ブラジル映画史上最高傑作とされる「City of God」。リオの貧民街を舞台にした少年ギャングの戦争がテーマ。ギャングのボスLil' Zeは、完全なサイコパスで年端もいかない少年時代から、なんのためらいもなく、笑ながら人を撃ち殺しまくる。Lil' Zeの親友のBennyはギャングとは思えない位クールなキャラでかっこいい上にいろいろな人たちの窮地を救う。とてもキャラがたった登場人物の相関性や力関係が緻密に描かれている、プロットが素晴らしい。ものすごくバイオレントなんだけど、悲壮感はなく全体的に軽いノリで描かれているのも僕が大好きなところ。サントラがとても良くて、サンバやボサノバのノリがよく、軽くて、少し切ない感じが、ザラザラ感のある映像とマッチしていて、とても美しい。見たことがない人がいれば、これは絶対マストです。ちなみに僕は自分が教えているインフォグラフィックのクラスで生徒にこの映画のダイアグラムを作らせます。まさに趣味の世界。

朝になったので、前日に予約しておいた砂漠バギーに向かう。ナタルの有名な砂丘をバギーで疾走する。
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途中でイグアナに会ったり、
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砂丘をソリで滑ったり、
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ジップラインしたり、
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変なリフトに乗ったり、
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と貪欲に遊びまくった。おかげで試合前なのにかなり疲れた。ただ試合を前にしてアドレナリンが出まくっていたのであまり疲労は感じなかった。逆に試合に向けて手持ち無沙汰で何もしないより良かったのかもしれない。あまり考えすぎると煮詰まっちゃつて大変だったもしれない。コートジボワール戦に引き続き、日本代表の試合の日にはなぜかイベント盛りだくさんだった。ということで、試合の分は例によって別エントリーで。

ギリシャ戦前日

今日はブラジルに来て初めてなんの予定も立てずにゆっくりと過ごした。長丁場の旅なのでこういう日も必要だ。試合をテレビで見たり、読書をしたりと落ち着いた1日。

スペインの敗退には驚いた。僕はFCバルセロナが大好きで去年カンプノウまで試合を見に行ったほどなのでとても残念だ。98年に優勝した後2002年に3連敗したフランス同様、前回王者が早々とグループリーグで姿を消すというのはサッカー界に存在するサイクルによるものではないだろうか。華麗なパスワークによるテクニカルなサッカーで世界を魅了したスペイン/バルサは世界のサッカーのトレンドにとてもポジティブな影響を及ぼした。スペインには若くて有望な選手が多いので是非近い将来復活して欲しいものだ。
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さて、明日は日本代表の運命のギリシャ戦。この試合に4年間の全てをぶつけて悔いのないように戦って欲しい。日本のサッカーは世界的に例を見ないスピードで進化しているし、現在の力で十分世界を驚かすことは可能だ。ザッケローニ監督が丁寧に作り上げて来たチームのサッカーを表現できるか、これがこの試合のカギとなる。選手たちは4年前、南アフリカでの成功体験然り、北京オリンピックでの惨敗も経験している。ワールドカップという最高の舞台で日本のテクニカルでスピードのある美しいサッカーを世界に見せつけよう!
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ナタルの砂漠

この日はナタルのホテル近辺でアドベンチャーの一日。泊まっているゲストハウスの人たちと友達になって色々と遊んだ。アメリカ人、カナダ人、イギリス人、ナイジェリア人という多彩な組み合わせだ。ホテルの近くの砂丘でラクダに乗れるというので行ってみた。ラクダはブラジルにはいないのでアフリカから船で運んでくるらしい。丘の上からはナタルの街が一望できて素晴らしい景色だ。その後ビーチにてサッカーをする。(子供相手だけど)きっちりゴールを決めることができたので、ブラジルでゴールを決めるという旅の目的を達成!
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夕方4時からは地元のバーにてブラジル人に囲まれてブラジル対メキシコを観戦。この試合は両チームとも、あまりリスクを取らず、カウンター狙いというスローペースに終始した。現実主義者のフェリポン監督は予選リーグ3試合を通してプランをたてていて、この試合はドローで勝ち点1を拾えれば御の字だ。メキシコのゴールキーパーのオチョアがスーパーセーブの連発で大当たりだった。
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その後ホテルに戻り、仲間たちと飲みながらいろんな話をした。面白いのは、何故みんな3週間の休みを取れたのか、という話。少なくない人が、「休みが取れなかったので仕事を辞めたった!」「ワールドカップに行かせてくれない会社なんて、働く価値がない!」と言っていた。みんなと連絡先を交換しあい、お互いの街に遊びに行くことを約束して、健闘を誓い合った。自分のコンフォートゾーンを抜け出して交遊を拡げるのが本当に楽しい。
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U S A

ナタル2日目。今日はアメリカ対ガーナの日。朝早く起きて走る。ナタルのビーチ沿いは素晴らしいランニングコースだ。途中で喉が渇いて水が飲みたくなったので、ツーリストポリスに恐る恐る入ると、冷たい水をくれた。ブラジル人の優しさが身に沁みる。
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走っていると大通りが土砂崩れにより閉鎖されている。海沿いの高級ホテルから上にあがったところのファベーラが土砂崩れを起こして家屋が倒壊している。これはブラジルのいたるところに見られる貧富の差が起こした悲劇だ。貧困から抜け出す術は皆無に等しい。だからサッカーが強いんだけとね。
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アメリカ対ガーナ戦のスタジアムはナタルの中心部にほど近いEstadio Das Dunasナタルの砂丘にインスパイアされた、現代建築のスタジアム。Recifeのスタジアムに比べるとアクセスが格段に良い。笑えるのは、いまだに絶賛工事中のところ。スタジアムのまわりの歩道橋は間に合わなかった上にスタンドはコンクリートの基礎の上に鉄製の仮設階段、その上に座席を設置している。
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アメリカサポーターの熱気は試合前から最高潮で、むき出しのナショナリズムでUSA!USA!と叫んでいる。だからと言って排他的な国粋主義ではなく、ガーナサポーターと笑顔で写真を撮ったり、応援合戦をしている光景は微笑ましい。対するガーナサポーターは少数ながら民族衣装に身を包み歌って踊って楽しそうだ。
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この試合は今大会随一の好ゲーム。開始1分も経たないうちにアメリカがデンプシーのゴールで先制。過去2回のワールドカップでガーナに敗退させられているアメリカにとっては願っても無いスタート。この日はクリンスマン監督の采配がとても冴えていた。前半の中盤から終盤にかけて守備のブロックを作りガーナに攻めさせ、カウンターアタックを狙う作戦。ガーナは終始攻めるがゴールをあげることができず、攻め疲れて体力を消耗した。これが後半に向けての伏線となる。
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アメリカは後半開始から攻勢に出る。1点のリードを45分間守り続けるのは困難なのでもう1点を取りに行くストラテジーだ。ガーナは後半に入りボアテング、エシエンと立て続けに世界クラスの選手を投入し、1点を取りに行く。そして82分、アユーの左足のアウトサイドでキーパーのニアサイドをぶち抜くゴールでついに試合を振り出しに戻す。ただこの時点でガーナは体力をかなり消耗しており、足が止まりスペースが生まれる。86分のブルックスのゴールはもはや必然で、会場を埋め尽くしたアメリカサポーターの歓喜が爆発する。結局2-1でアメリカの勝利。クリンスマン監督のゲームを読む力、プラン通りに試合を遂行する選手のインテリジェンスが高いレベルで融合した好チームだ。ポルトガルが2人のレアルマドリードプレイヤーを失ったこともあり、アメリカは絶好の位置につけている。

この試合展開は日本対コートジボワールにとても似ていた。アメリカがシチュエーションごとにチームとしてどういうタクティクスをとるかという意思統一ができていた。一緒に行ったアメリカ人の友達が羨ましい。ワールドカップに行ってしぶんが愛するチームの勝利を見ることがどれだけ素晴らしい体験かを間接的に経験したので今度は、日本もアメリカを見習ってギリシャ戦は絶対勝つぞ!


ナタルへ

コートジボワール戦後ボロボロでレシフェのホテルに帰ったあと、朝7時に起きてナタル行きのバスに乗る。この日もお約束のようにトラブル発生。ルームメイトのDaveがiphoneをなくすという失態を犯す。この人はそういう人なんだな、と。
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バス自体はとても快適で、眠れたんだけど、ナタルに着いてからが大変。空港にレンタカーを取りに向かったのだが、南にあるはずの空港の全く別方向にタクシーが爆走。そっちじゃなくて、南の空港に向かって!とタクシードライバーを必死で説得したところ、なんかポルトガル語で行ってくるんだけど全く分からず。なんとか説得して南の空港に向かったところ着いてみると空港が閉鎖されている!後で調べたら今年の5月に新空港に変わったらしい。Google先生に騙された。結局また北空港に戻る。高いナタル2週ツアーになってしまった、、、、。
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アメリカのT-Mobileのユーザーは海外のデータローミングが無料で利用できるサービスがあって、今回の旅は現地でスマホを使える。これは相当便利で、知らない土地に行った時にスマホは強力なツールになる。このブログも現地からリアルタイムに情報を発信するという仕組みになっています。ただ、あまりGoogleを信用しすぎて現地の情報を軽視するという弊害があるのは否めませんが。

なんとかたどり着いたホテルはビーチフロントでいい感じ。明日はアメリカ対ガーナ戦頑張ってアメリカを応援するぞー!
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